Logicool G29 ハンコン修理(キャリブレーションが終わらない)

修理依頼

ひょんなことから知人よりG29が壊れたので直してくれないかとヘルプが入る。壊れたG29はLogitechではなくLogicool。本家Logicoolでも2年が過ぎると有償でも修理をしてくれない。保証期間内の修理でも、新品を送ってきて、故障したハンコンは自分で処分しやがれてきな対応を取る事は変わってないようだ。このブログでも書いたように、その故障分をオークション、フリマ等で叩き売る行為も散見される。売りっぱなしが一番儲かる事は判っているが、企業としてどうなのかと疑問は残る。

さて、修理依頼として、車でもなんでもそうだが、他人の物を修理するというのはなかなかプロでない限りは難しい所がある。例えとしては少し違うが、つい最近、自分の大事な楽器を話の流れで貸す事になってしまったのだが、嫌な予感は的中し、案の定、傷モノになって帰ってきた。その際、何の約束も無く信頼だけで貸したので、こちらとしても何も言えないし、傷をつけた本人もゴメンの一言もなく、お土産的なものと一緒に暗黙の謝罪と共に返ってきた。

その時の落胆たるや暫く尾を引き、他人の物を借りたくもないし勿論貸す事もしたくないし直したくもないとトラウマとなっていた。

と、まぁこの辺りが器の小さい人間の証明であって、自分としても是正していかなきゃならない所だと改め、自戒の念を込め、そもそも困っている人をほおっておく事は出来ない性格なので、ダメ元を念押しし、修理を引き受ける事とした。

※このサイトでは修理の受付は行っておりませんので、予めご了承くださいませ。

動作検証

まず、不具合の現象をみてみる。「キャリブレーション動作が終わらない」との事だったが、最初の検証時では、正常に動作しているように見える。一応シムレースでプレイしてみたのだが、何事も起こらず、普通に使える。

でも症状を言っているのだから何が原因があるのだろうと、色々シュチエーションを変えてみる。すると、一旦電源を切った状態から再度電源投入すると現象が現れた。

汚い机でごめんなさい。

以前、自分のハンコンで起こった症状と同じ、キャリブレーション動作の左右フルにハンドルが切れた時点で反応がなくなり、また最初からキャリブレーション動作を再開、そして、またデバイス消失の繰り返しが行われるものだ。

何回か繰り返すと接触が一時的に戻るのか、一応キャリブレーション動作は終了するが、接触の状況では延々と繰り返す場合がある。

外観比較

まずは、外観からみる。

修理依頼品は、日本正規logicool製。私のは並行輸入のバチもんlogitech製。外観はこのロゴ以外何も変わらない。

修理作業開始

早速分解してみるが、本体の基盤、コネクタ、ハンドル側基盤、コネクタ、どこを見ても何も異常は見られない。一番疑っていたハンドルとの7P通信ケーブルだが、導通を見てみても問題はなかった。

ならばコネクタ部の接触不良か、基盤のコネクタ部のハンダクラックかと色々原因をつぶしていくのだが、何も症状が改善しない。なんでだ?

トラブルシューティング

色々試して見るが原因がわからずに時間だけが過ぎていく。トラブルシューティングに明け暮れていたら、ハンドルにこの7Pケーブルを接続せずにキャリブレーション動作をしてみると、正常に動作する事が判った。以前、本体の基盤を焼いた時に、このケーブル接続不良の場合に焼けるような仕組みなのかと脳内妄想をしていたのだが、それは当然ながら完全に間違いで、7Pケーブルのうちどれかの配線が接触不良を起こすとデバイス認識がリセットされるような動きになっていると予測。

試しにスペアのハンドル基盤をハンドルに固定せず、手に持った状態でキャリブレーション動作を確認してみたら何事も起こらない。しかしハンドルに基盤を固定すると症状が現れる。

という事は、基盤を装着し、コネクタ、ケーブルに無理な力が掛かった状態のみ接触不良が出るのだと予想。根本的な構造として、本体側のケーブルはねじれを防止する為にケーブルが固定されているが、ハンドル側は何もなく、直接コネクタに接続されているだけなので、ハンドルのねじれ負荷がコネクターとケーブルに掛かってしまっている。

不具合原因

不具合の原因は、ハンドルを左右に何度も繰り返し切る事で、コネクタ根本の配線が被覆内で疲労切断を起こし、ハンドルのねじれの力が最大の箇所で断線症状がでてしまう事が不具合の原因と判断。

まだ断線していない私のケーブルと入れ替えた所、正常動作する事を確認した。

断線部分はハンドル側コネクタ付け根だと思われたが、この7Pケーブルのどこで断線しているかは見た目だけで判断できないので、今回は、コネクタ付け根部分の端子付け替えだけで終わらせず、念の為ケーブル自体を交換した。

厄介なのが、被覆は正常なので見た目では断線の判断ができない。また、ねじれ等のストレスをコードに与えた場合のみ断線状態になるので、テスターで導通チェックしても検知ができない。ここが判りずらい所。どうらこれがG29のアキレス腱のようで、同様の不具合症状のハンコンが散見される。

なので、数年使っていると必ずと言って良いほどこのケーブルが疲労断線を起こし、この症状が出て手放すと言うパターン。これは車で言う所のリコールに値する不具合で、これは設計ミスの域ではないかとも思う

自分のハンコンは応急処置的に作ったケーブルで動作検証している。

これで不具合の原因としては、7Pケーブルの断線という事がはっきりした。ケーブル自体は勿論販売されておらず、作るとしても時間がかかりそうなので、私のケーブルをそのまま使ってもらうようにした。

ケーブル作成についてはこちらから

そして、再発防止としてコネクタに捻りの力が加わらないようにケーブルを根本に接着し再発防止策をとり、修理は完了。

7Pケーブルの製作

では、自分のハンコン用ケーブルを作るとする。まずは、この細いケーブルを7本用意する。色々ググった結果、サンコー電商のケーブルが適当と判断。

この10色の内、同じ色の黒白赤緑青橙紫色の7色を使う。実際のケーブル系より少し細いが、色が合っているのと日本製?という所からこれをチョイス。(7色バージョンもあるので、その場合は、紫色だけ黄色に置き換えれば可)

LANケーブルの撚りをほどいて1本1本で使えないかなとも考えたが、単線じゃなく撚線で且、もっと細くないと駄目だ。

コネクタとフェライトコアはそのまま使えるので、あとは、端子だが、調べに調べた結果、PHコネクタ2㎜ピッチ用「SPH-002T-P0.5S」規格と言う事が判った。

これを発注。合わせて圧着工具もそろえる。

いままで車等のきぼし圧着で使っていた工具では全く大きさが違うので、揃える必要がある。まぁ、工具は一生物なので惜しくはない。

ちっさ!

兎に角、コネクタ端子が1mm程度の幅しかないので、老眼の私では拡大鏡がないと無理。本当に欲しいのは、デジタル顕微鏡、マイクロスコープなのだが、

とりあえず手持ちの拡大鏡とライトがあったのでそれを組み合わせてその場を凌ぐ。だが、いつかは手に入れたいアイテムではある。

まずはケーブルを色に合わせて端子分を考慮して約30cmの長さで用意する。できるだけ同じ色で合わせた方が間違いが少ない。しかし、ここで少々問題が。

7本のケーブルを3mm径の収縮チューブに通そうとしても30cmの長さはかなりきつく、なかなか通ってくれない。確かに30cmの収縮チューブを使うのは私も初めてで、難儀する。針金等を駆使してなんとか通す事が出来た。

次にフェライトコアを片方に通した状態でコネクタ端子を拡大鏡を使って圧着する。このサイズで圧着は初めてで、端子が小さいため、余計な所まで圧着してしまって何回か失敗する。要領を得たら綺麗に圧着できるようになり、両側計14個の圧着が完了した。

綺麗に圧着できたので嬉しくなって早速コネクターを装着して導通チェックし、問題ない事を確認。

収縮チューブに熱を加え、やっとのこさ完成。

と、ここまでは良いのだが、コネクターの片方を外さないと本体に装着出来ない事をすっかり忘れてしまっていた。喜びもつかの間、再度コネクターから端子をチマチマ引き抜き、ピニオンギアの穴に通して本体に装着完了。そして、再発防止としてねじれの力が掛からないようにケーブルをハンドル側にグルーで接着。

更にコネクターの配線も折れないように上からグルーでカバーしてやる。

元通り組み立てし、動作検証。勿論問題無く動いた。面白くもなんともない動画だが、動作検証動画としてアップ。

これで修理は完了とした。

ブログ後記:一寸にも足らない戯言

ハンコンが直ったタイミングで今年の盆休み突入。久しぶりに体の療養以外で休みが取れ、色々やる事を計画していたのだが、とうとう自身がコロナに感染してしまう。

この猛暑でもマスクは外せない理由

どんなに暑くても、マスクは外さない。うがい、手洗い、消毒も欠かさない。最近では、マスクをしている人が悪者扱いや笑いものにされることもあるらしいけど、そんなのは気にしない。基礎疾患があるし、介護が必要な高齢者二人と同居しているから、絶対に感染なんてできない。たとえ、マスクの効果が少ししかないというエビデンスがあったとしても、そのわずかな効果にすら頼らざるを得ない。今は、まさに藁をも縋る思いなんだ。

でも、そんな中で最悪の事態が起きた。出先とかならまだしも、勤務先の社内でコロナが集団感染。所謂クラスターと言う奴だ。

社員の一人がコロナに感染してたらしく、マスクもしないで事務所で豪快に咳やくしゃみを撒き散らしてた。さらに、社内では換気も消毒も完全に無視されてた。そんな環境で何時間も濃厚接触状態になれば、さすがにマスクも役に立たない。コンピュータウイルスや個人情報漏洩には神経質なくらい対策してるのに、人間のウイルス対策は全然ザル。これでIT企業と名乗るのは全く笑えない話だ。

風邪じゃないだろ?

最初38.5度の発熱が出た時点で医者に行ったのだが、抗体検査では陰性だった。医者曰く、

かかりつけ医者

ただの風邪ですね

と宣う。

患者としては医者の言うことを聞くしかないが、何故38度もあるのに ‘ただの風邪’ と判断するのか。そんなはずがないだろう。さらに、基礎疾患があるのだから、炎症や抗体検査に引っかからない場合もあるし、血液検査や検尿など、他の角度から調べる方法はいくつもあるはずだ。コロナの可能性も考慮して、念のために再検査を指示してほしかった。

医者の ‘ただの風邪’ という言葉を鵜呑みにしてしまい、それから数日、家内と濃厚接触状態で過ごしていた。結果、コロナと診断された時には既に手遅れだった。そして、その2日後には家内も発病し、絶望感に襲われた。介護もできず、もし親に感染したらと思うと、さらに恐怖が押し寄せる。状況が一気に悪化して、どうしようもない不安に包まれた。

朦朧としながら症状記録の為に写真を撮る。
回復するまで体温計の数字を見て、何度落胆したことか。

熱は39度まで上がり、朦朧とした頭で家の中で隔離を試み、デイサービスなどを駆使してなんとか乗り切った。(ただ、家族にコロナ感染者がいると、デイサービスも暫く利用できなくなる。)幸いなことに、重篤化もせず、感染も広がらなかった。他の社員は家族全員が感染してしまったらしく、その社員には申し訳ないが、胸を撫で下ろすしかなかった。

最近ではなくずっと思っていたが、どうしても医療や医者の対応が場当たり的に感じてしまう。もちろん、人間は機械ではないし、いくら医学が進んでも未知の症状があることは理解している。しかし、原因が判らなければ問題ないとして門前払いされることや、カンペのようなくすり手帳を開いて適当に薬を処方される経験が何度もある。薬が効けば名医、外れればヤブと言われる大変な職業であることはわかるが、裕福な家系出身で高飛車な態度が目立つ医者が多いと感じる。もちろん全員がそうだとは言わないが、対人スキルに欠ける医者が少なくないように思う。

修理や病気を治すことは当然だが、人の気持ちも同じようにケアできることこそ、本当の医者や技術者の役目だと思う。