バイク買取り依頼レポート
事情が事情で、私のバイクを手放さなくてはならなった。
バイクはホンダCB1300(SC40)12年落ちの後期キャブ最終モデル。走行6,000キロ強。車検は8ヵ月弱残ってる状態。キズというキズは無く、自分言うのもなんだが、綺麗に綺麗に、大事に大事にしていたバイクだ。タイヤも新品に交換し、冷却ホース類も全部交換した。
マフラーなんてピッカピカ。キズなんて殆ど無い状態でございます。勿論、錆なんて皆無。秘蔵っ子のバイクでございます。以前、このバイクを購入した店で一応買取の見積りをして貰った所、25万円・・・。
・・・気を取り直して、いつもお世話になっているウイングさんでは35万と言う10万も高いお答えでした。この時点で、この差はなんなんだと言いたかった訳で・・・・。
かいとりびあ~ん♪
さて、バイク買取といえば連日連夜「かいとりびあ~ん♪」とCMが流れている業者さん。だがしかし・・・、何か良からぬ噂がネット上には広がっている。そして、色々バイク買取りの体験談をネットで検索しても、どうも「桜」的な記事しかヒットしない。あくまで私見だが、実際の体験談ブログ記事を検索結果から「サゲ」しようと躍起になっているような感じが伝わってくる。(このサイトは決して桜じゃない)
その「かいとりびぁーん♪」のウェブ簡単査定をしたら最高額が43万。その他、色んな業者のサイトを見たり、電話しまくって調べた結果、なんと買取平均値とやらがその最高額より高い45万、最高額が更に20万近くも高い見積りを出した業者があった。
でもね、こんな高値で買い取っちゃくれんだろ・・・。大体、記念モデルでも実売価格がその最高額辺りなのに、どう考えても採算が合わない筈。恐らくこの値段で他業者との差別化を図って釣るつもりなのは見え見えなんだけど、
・・・まぁ釣られてやろうじゃないか。
駄目でもブログネタになれば良いかなと思って申し込んでみた。(はい、ネタにしました。)
先ずは電話
電話の応対はまずまず、悪くはない。でも希望日には却下され来週に延期。一応、買取するまで居座る事とかないよね?と問い正すと、
「はは!そんなことありませんよ」
と、笑い口調。おう、自信ありげだな。ま、そんならいいんだがね。ところが私の方が予定していた日が都合悪くなって、数日前にもう一度連絡して変更を行った。
で、当日。1時間遅れるとの連絡あり。・・・まぁ、いいや。
近くに来たら連絡くれると言うので余裕かましてたら、いきなり来てちょっとびっくり。話口調は感じの良さそうな感じで、茶髪にちょいひげ生やされたシャレオツなにーちゃん。私も生やしてたが、今年元旦に剃りました。
閑話休題。
まぁね。そんな完璧な業者さんなんて居ませんよ。業者だって兵隊さんだって政治家だって、にんげんだもの(笑)
まぁ、バイク買取といっても、買って貰うんだからどっちが客なんだよ?と言う感じはする。そんなに高く売りたいんだったら自分で売れよという事だ。売る術がない、もしくは面倒だから専門業者に買ってもらう。こっちも人間なら相手も人間。お互いウインウインで何とか済ませたい所だ。(←でもまぁ世の中そんな甘く無い)
査定は無料
さて、査定に移る。まずは車検証をみせてから、車検証と車体が合致するかをチェックしている。チェックが済んだようで、車体評価に移る。
と言ってきたので、どうぞ~と言ったが遠慮しているので私が掛けてやった。冷間時の大排気量キャブは個体差のコツがいるからね。
保安機器類と、クラッチの具合を確認して、ボディーチェックに移った。
色々細かいキズをチクチク言ってくるとかと思いきや、
綺麗ですね~
そう?と返事して、もしかしたら結構高値が付くか?なんて期待。
でもさ。普通その言葉はタブーなのでは?
業者が持っているチェックシートには、殆ど記入していないようだ。記入する不具合が無いという事か?よくチェックしていた箇所は、車体下部とシートを外して見えるフレーム部分とかを見ていたようだ。
暫くすると、一通り査定が終わったようで、
希望価格はいくらですか?
と、予想通り聞いてきたので、そりゃ希望はこの業者のウェブ査定価格で表示された最高額辺りだよと回答。
すると、ちょっと電話してきますとの事でトラックに行き、数分したら戻ってきた。
予想通り
]すいませんが到底希望額には及ばず、半分ぐらいしか行けません
想定内ですよ。ええ。
業者は程度が良くても如何に安く仕入れるかが肝だからな。しかし、ウェブで出たその査定平均値と謳っていたあればなんなんだと・・・。まぁ、立ち話もなんだから座りねぇと椅子を出して、世間話をしながら交渉開始。
業者の言い分:今はオークションで買い手が付く価格が限度。
私の言い分:サイトで買取平均価格とあったからその価格。
その平均価格からマイナス5万切るなら残念ながら帰ってもらうつもりでいた。
価格交渉
値段の話になるたびに本部?へ電話をしにトラックへ戻る。その繰り返しで、1時間半ほど色々世間話しやタブレットでネット上の売値を見せ合いっこしながら交渉を続ける・・・。
ここで思ったのは、車検証はずっと業者のバインダーに挟んだままにされている。これを返さないのが交渉術としているのかもしれない。(まぁ、そりゃ返せっていったら返してくれるんだろうけど)業者さんには車検証のコピーを用意しておいて、それを渡すのが良いのかもしれない。
私の希望売値は正直平均+5万だった。業者の買取希望は平均より-15万。その間をとったらどうか?と提案。すると、またトラックへ電話しに行った。確かに、ヤフオクに出して恐らく平均価格だと売れるだろう。しかし、いつ売れるか分からない、色々手続きをしなきゃいけない、手数料も払わなきゃいけない、時間もかかる。そして、一般人を相手に高額取引は正直リスクがある。ここは業者と言う信頼(まぁ、あるかないか分からんが)と手間を数万で買った事にすればいい。
現金ちゃうんかい
業者が帰ってきた。渋い顔をしながら
ご提案価格なら良いですか?
いいよと答えた。これで商談成立かと思ったら、
そのかわり条件があります。お代は振込でお願いできませんか?
は?謳い文句の「現金」ちゃうんかい。
今いくら持ってんの?と言うと、これまた半分しかないと・・・。(ホンマかどうかは分からんが)
最初に言えよって。
正直買う気あったんかいな?と思ったし、半分しか持ってないという事は、かなり叩いて買おうとしていた証拠だ。それに、バイクだけ持っていかれて何も残らんのは本当に不安だし、折れて決断したのにそりゃねぇよな、としばらく悩む。–
会社も見た事ないし行った事もない、実在するか分からない電話で呼んだだけの初対面の人間にバイクだけ預けるのは戴けない。最近はセールス文句で現金と言っているが、大手も振込も多くなってきているとの事(これまたホンマかいな)。
でもまぁ良く考えると、バイク買取トラックは大金を持っているよと言いながら走っているようなもんだ。業者側も犯罪を恐れているのかもしれない。もしくは、私に対する信用が足らないから、車体に書類的な不備等が見つかったら払わないようにする為の予防策かもしれない。それが証拠に契約書の裏にそのような但し書きが書いてあった。当然だけど契約書は隅々まで見る必要がある。これはどの契約書にも言えることだが・・・・。でも、その場で、ここに記入してハンコ付いてくださいと業者に言われたら、だれでも言いなりになってしまう。ここは誰もが難しく思う所だろう。
売買契約成立・・・が
契約書の確認と振込日を確約させて、今持ってる全額置いていけ!という事で結局査定平均値から-5万(現金、振込半々)で契約成立。書類にサインして契約完了。
ここでまた一つ引っかかったのは、名義変更としては会社名ではなく、個人名で変更するとの事。そのほうが早く処理出来るのだとか。その理由がわからんし、やはり信用としては会社名義でやってほしい。その間も色々話をしたのだが、やはり値段が合わずに帰る事もしばしばあるようで、その状態を業界用語で「はずす」(だったかな?)と言うらしい。でも、今回の担当者は社内「はずさない」業績ではトップだとか。手前味噌だね。
会社の社員規模は20名程度。まだまだ頑張っている所だが、実績は年々下がっているとの事。やはりバイク人口が少なくなっているからという事だった。確かにそうだろうな・・・。こうやって俺も降りてるぐらいなんだから。そういう意味では墓穴を掘っている会社だわな。しかし、この買取業者が増えてきたお蔭で古いバイクの値段がどんどん上がって行っているというのも事実。CBXが以前は40万ぐらいだったのが、今じゃ100万越え多数。投機で原油やトウモロコシなどの原料が高騰するように、要は投機の一種。だから絶対にそんな手段を投じている業者なんかに売るもんか!と考えていたが、世の中上手くいかないものでまんまと乗せられてしまった。
売り切り覚悟で交渉しよう
まぁ、掲示板書き込みに良くある、絶対に売ってもらうまで帰らない、という事は無いようだ。しかし相手もプロだから、今回ははるばる県外からやってきたらしいので手ぶらでは簡単に帰れないだろう。その「はずす」と言う事が社内ではタブーになっている事は事実だ。だから、このような業者に頼む時は安易に依頼しない方が良いだろう。こっちもリサーチをしておいて、落とし所を設定した上で、売り切り覚悟で交渉をする意気込みが必要。(←偉そう)
実は、価格の折り合いが付いたタイミングで、買取業者が本社と振込日の確認電話を掛けたら慌てて、「折り返し連絡します」と電話を切ってトラックへ戻っていったのだが、本社側から提案価格より良い折衷案を言ってきたから聞かれちゃまずいと慌てて切ったのか、そういう事であればもう少し伸びしろがあったんだろうか、もうちょい粘ればよかったかなと少し後悔したり・・・。
結局、契約終了まで2時間強かかった。
ドナドナ
日も暮れて、バイクも見納め。これでお別れだと悲しくなりながらもバイクを押して業者のトラックへ。
バイクがトラックに載せられ、ロープで「ギュ!ギュ!」と強く縛りつけられていく。その度に、バイクのスタンドがトラックに擦れて、「キー!キー!」と鳴く。何か、バイクが泣いているように聞こえる。
泣けてくる・・・(ノДT)アゥゥ
そして、ドナドナ・・・。
本当にドナドナを歌いながら、トラックが見えなくなるまで、ぼーっと見てた。
大袈裟かもしれんが、正直泣きそうになってた。
しょうがないのだ・・・自分に言い聞かせて家に入る。
玄関に残された買取証明書と現金と空しさだけが残ったのだった・・・。
バイク買取依頼総括
- サイトや電話での提示価格は全く当てにならない。
- 新古車(走行100キロ程度)以外の車両では、いくら程度が良くても査定は低い。
- オークション相場は全国共通なので、どの買取業者でも提示価格は変わらない。
- 幾ら粘っても、オークション相場価格より高くならない。
(オークション価格は自分で調べる。業者の価格を信じては駄目。) - 査定では、小さなキズ等、あまり細かく見ない。(言わない?)
- 売るまで帰らないことは無いが、簡単には帰らない。こちらも売り切るつもりで交渉に挑む。
- タブレット等でネット上の相場を確認しながら交渉すると良いかも。(勿論、その価格から仕入値を考える)
- 査定に必要な車検証等書類はコピーを渡す方が良い。
- 現金で貰えるとは限らない。後日振込もある。最初に聞いておくと良い。(今回は銀行の2営業日程度)
- 契約書は裏も見る事。引き取り後でも業者からキャンセル食らう場合がある。後日キャンセル等の条件を確認する。
- 名義変更は個人名で行われる事がある。
- 持って帰る書類は車検証、自賠責のみ。納税証明書やグッドライダー登録、車検証入れは不要。
- 車検が残っている場合は自賠責残分も考慮させる。(自賠責書類上の個人情報は廃車するので消えると言っていたが名変ならどうなるのか疑問が残る)
- 交渉が必要なので、ある程度のリサーチ、そして度胸と根性は必要。
- 信頼感、実績がものを言う世界なので、有名所を選んだ方が良いと感じた。
※あくまで個人的所感です。内容に関してクレーム等は一切受け付けません。
後日談
予定日の午後には残金がちゃんと振り込まれた。正直、何かイチャモン付けられて減額とか、キャンセルとか言われないかヒヤヒヤして過ごした。やはり、現金に越した事は無いな・・・。1週間後、業者より名義変更後の車検証コピーがぺらっと送られてきた。
名義は言っていた通り個人名義で、最初に電話応対した名前のようだ。同一人物かどうかは不明だが。これで契約は全て完了。私のCBははてさて、誰の手に渡るのだろうか・・・。
早速中古バイクサイトに載った
更に数日後・・・
早速、中古バイクサイトに出品されていました。型式と年式指定で通知メール登録して網を張ってました。そしたらビンゴ。掲載時期、年式、車検残、走行距離、オイルエレメントの色、タイヤ。間違いない。
程度文句なし!きれい 一見の価値あり
との説明書き。
そりゃそうだよ。まぁ、認めてくれてるのは嬉しいのだが、めちゃめちゃ複雑な気分。ちなみに、限定車専用のリアエンブレムは剥がされ、そこに有る筈のHONDAロゴも貼られていなかった。やるならHONDAロゴぐらい貼っとけ。
値段を見るともうちょっと値上げ交渉は可能だったか。俺も甘いナ・・・・。
最後にひとこと言わせてもらえるならば、
車やバイクを投機目的に使うな
と言いたい。
エンジンかけてもいいですか?