「ピンチクリフ・グランプリ」が30年ぶりにDVDで蘇った。

大昔テレビで観て感動したこの映画

30年前にノルウェーで大ヒットした「ピンチクリフ・グランプリ」と言うコマ撮り人形アニメ映画。ノルウェー映画試乗観客動員数1位で、ノルウェー人口より多い500万人以上と言う記録を作った作品。これが30年ぶりにDVDで蘇った。

実はこれ、昔から私がもう一度観たいとずっと探していた映画だったのだが、映画の題名とか情報が「チキチキマシン猛レース」のような情報しか頭に残って無いのでネットで調べようにも調べようが無く、殆ど諦めていた。しかし、そこへDVD化されてレンタルビデオ屋で偶然再会。

嬉しいので少々語らせて頂きマス。

初めてテレビで観た時の衝撃

当時はマシンが走っているシーンをちょっと観ただけで、勿論、私はまだ子供だったので車の事はあまり詳しくなかったのですが、強烈なインパクトのある車体とエンジン、そして細かいマニアックな装備と動き。真鍮のボディーにでかくてぶっといリアタイヤ。形はクラシックだが色んな装置のついているコクピット。配管が所狭しと芸術のように配置されている。揚げ句にはレーダーまで。

「すげぇ~これ」

日本には無い独特の造形が子供心に興奮とインパクトを覚え、それから頭から離れなかった。

そして約30年後、DVD版としてリバイバルリリースされていたのを偶然レンタル屋さんで知る。

「あ、もしかしてこれって・・・」

思わず声に出しそうになりましたが、心の中で感激の雄たけびをあげていた。偶然とはいえ30年ぶりの再会でとても感激。この作品はあまり人気が無いのか1枚だけしか置いていなく、でも貸し出しはされてなかったので新作でしたが速攻で借りた。

北欧のセンスの良さ

この映画は勿論ウォレスとグルミットが出るずっとずっと前の事で、多分、ウォレスが発明家と言う事と、あの細かいマニアックな動きはこの映画をリスペクトしていると思う。

正直、昔の事もあって動きがウォレスとグルミットと比べると月とすっぽんぐらいの差があるが、当時としては画期的だったのだろう。日本語版もあり(多分私はこれを見た筈)吹き替え声優も、大御所の野沢雅子やぶらり途中下車の滝口順平、ボヤッキーの八奈見乗児などの豪華声優陣が担当している。

あらすじ(ネタバレには至らない)

物語は、山(磐山?)のてっぺんにある小屋で細々と自転車修理屋を経営している、発明家としての腕も持つレオドルと、強気な性格のアヒルのソラン。対照的におっとりした性格のハリネズミのルドビグの一人+2匹で生活している所から始まる。

構成の3分の2はレースに出るまでの成り行き。吟遊詩人の朗読やバンド演奏など車には関係ない子供向け?のシーンを事細かにを延々してくれる場面があるので、こういうシーンは見れないので早送り。しかし、レースカーを作成するシーンは必見。旋盤を操作するシーンからフレームにエンジンを搭載する場面などがあり、機械好きにはたまらない。

レース場のシーンからが本当の見せ場で、30年前の映画としては迫力がある。DVDはなんと5.1chに対応しており、排気音も右や左になかなか凝ったリメイクとなっていた。ここで気になったのが、排気音がPS2でおなじみのグランツーリスモの排気音に似ている。もしかしてと思ったが気の所為か?

イル・テンポ・ギガンテ号

主役のイル・テンポ・ギガンテ号と悪役のブーメラン・ラピド号はいいのだが、その他は、ミニカーをちょっと改造したような作りでこれは見てない事にする。

このイル・テンポ・ギガンテ号のスペックはすごい。

  • ダイレクトインジェクション
  • 高圧着火点火プラグ採用の大出力12気筒+ロケットエンジン
  • 物語の核となるレオドルが発明した燃料気化装置
  • 4輪駆動
  • 0~250kmまでのメータと250km以上を表示する2連メータ
  • 風速計
  • 探知レーダ
  • 3インチ超精密研磨排気管(意味がわからんがなんかすごい)
  • スチールベルト+7重ネットの特製タイヤ
  • 自転車のブレーキを強化して作ったブレーキ(サイドブレーキ?)
  • 緊急用の血液(貴族用青色血液?も)
  • 車体重量2.8㌧

重さはレースカーにとっては致命傷だが、逆に重さをアピールしている点は時代の差か?この重さはレースシーンでも走り方で表現されている。

車のディテール

それにしても、当時のF1サウンドと思われる迫力のある排気音や、悪役のブーメラン・ラピド号に搭載されている可変ウイングなどは、当時画期的なものだったのでしょう。実際のF1でも可変ウイングは見たことがありますが、どっちが早かったのでしょうか?


走行シーンでは、ギアチェンジ・シフトダウン操作、何かは判らないがレバーやスイッチを忙しそうに、且つ当然のように操作する所も見もの。そしてレースのカメラアングルはオンボードカメラや車体を追従する後部からのアングルなど、とても当時の撮影発想とは思えない映像。何はともあれ、その「イル・テンポ・ギガンテ号」のグラマラスなデザイン、太いタイヤやマニアックな配管。点火順に出てくるマフラーの炎等、私の車好きを形成した根底に位置するもの言っても過言ではない。

まぁ、少し私の中でも偶像、整形されている節もあって、今観るとちょっと萎えてしまう点もあるが、何しろ30年ぶりなので、以前観た「トランザム7000」に続いて感動した映画だった。

ちなみに、自信をもって妻にちょっとこの映画を見せてあげたけが全く反応無し。車好きじゃないと理解出来ない映画なんだろうな(悲)

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