膀胱癌が見つかった。(その11、心療内科とBCG治療を始める)

キツイ尿意と人間不信

尿道が痛い。もう術後1ヵ月も経っているのに症状が変わらない。尿から黒い粉のようなものが出ている。先日の尿路結石の陣痛後遺症か、顔がほてる。相当力んでいたらしい。片頭痛も消えない。

夜3時ごろ、トイレに行って部屋に戻るが尿意が消えない。消えないどころかきつくなる。膀胱の裏を強く棒か何かでグリグリ押されたような感覚で、声を出してしまう程の耐えられない尿意によってまたうずくまる。尿路結石と同じくして、何かを強く握らないと居ても経っても居られなくなる。切除したところは膀胱の左側の筈なのに、その左側も少し痛むが100倍真ん中が痛む。30分位経っただろうか。家庭用温熱灸で温めてやると少しずつ楽になってきた。どうやらこの陣痛は温めると良いらしい。それから、普段でも膀胱の辺りをホッカイロを張って過ごすと、少しだが楽に過ごせるようになった。

定期診察で主治医にその事を伝えるが「耐えろ」という。膀胱鏡検査では腎臓からの尿管出口が腫れていて見えないらしい。そして、その腫れているとされている写真も見せてくれない。なんでだ。

とにかく主治医は人が変わったように安心を与えてくれなくなった。それがきっかけなのかは判らないが、誰も信じられなくなってしまった。表面的な傷や打撲の痛みなら、さするなり消毒するなり自分で何とかできるが、膀胱や内臓というのは自分で何にもできないから辛さが増す。他人から見ると何も見えないから苦しさは伝わらない。そして、BCGの事を考えると更に精神的に辛さが増す。

頭の中で死を伴った極限のネガティブ思考が駆け巡る。・・・自分でいうのもなんだが、精神的にはやはり、かなりキテいる事は間違いないようだった。

心療内科へ

兎に角、夜、その酷い尿意で眠れないので眠剤を貰いに心療内科に行く。実は心療内科を受診するのは2回目。15年程前に仕事の激務&過酷の過労っぷりでノイローゼになり、近くの心療内科を受診した。だが、その時に処方された薬が全く体に合わず、この記事を書いている現在も発症している「目をきょろきょろ動かすと両耳から両手、体の中心にかけてビリビリと電気が流れるような痛み」が出るようになった。

そして、診察の結果「鬱」と診断されたのだが、その診断が原因で住宅ローンが通らなかったという経緯があり、心療内科を受診する事は社会的に不利と自分の中でトラウマ化し、「行きたいけど行けない」気持ちが受診を遠ざけていた。

しかし、今回はそんな事を言ってられない。ある意味背中を押された形で受診する。この診療所は県内でも歴史ある診療所らしい。

最初にアシスタントの方からカウンセリングを受け、暫く待ってから主治医の待つ部屋へ。しっかりと相談してくれるのかと思いきや、このコロナの影響で先生はメガネの上からゴーグルを掛け&マスク&2、3メータ程離れた椅子に座っての問診。

先生の表情が全く読み取れない。

先生の声も小さく聞き取り辛い。どうも話し難すぎる。ここ本当に歴史ある診療内科か?と半信半疑になる。アシスタントさんと話したときは、ちゃんとアクリル板を挟んでしっかり話が出来たんだが、伝えた内容もあまり先生に伝わっていない印象だった。あれは、もしやアシスタントとしての教育の一環、インターンでの勉強だったりするのか・・・。

聞こえにくいし、大きな声で話さなければならない。でも、兎に角、眠剤を貰わなきゃと必死になって今までの経緯を説明する。すると、その以前行ったその心療内科にわざわざ連絡して確認し、以前の処方してもらった薬を聞き出してくれた。その薬はソラナックスベンザリンだったそうだ。こういう方法もできるのかと、最初は少し面食らったがそこは見直した。現在の症状にならないよう、その薬剤を避け、違う抗不安薬ロラゼパムと眠剤エバミール錠を処方してもらった。

早速その夜に服用してみたら自分の体に合っているようで、夜中に何度も起きていたのが1回あるかないかで朝を迎えられた。抗不安薬もこれはフラシーボかもしれないが、過呼吸気味になる事は無くなり、寝起きでの尿の量も300ccを超える事が出来た。

この病院を紹介してくれた癌ケア担当の人には本当に感謝だ。

BCGの恐怖

休日の土曜日。BCGは明後日。最近は眠剤のお陰でよく眠れるようになっていたが、たまに背中の痛さで目が覚める事があった。辛いので寝る前に温灸等を背中に施していた。昨日はその背中の温灸はし忘れていたのだが痛さで目が覚める事は無く、6時頃目が覚めて250cc排尿、二度寝(苦笑)で8時頃に近所の建築音で目が覚め200cc。色は正常になっていた。

寝起き30分ぐらいは何ともないのだが、それから膀胱がジンジンと痛み始める。左足親指から足の付け根までしびれる。左わき腹、尿道も痛い。

痛い痒いは言いたくないが、痛いものは仕方ない。しかも、自然治癒するのなら気にする事もないが、今回の痛さは後々響くかもしれないので気にならない訳が無い。そんなこんなの症状でその過酷な荒治療であるBCG治療をしていいのか、新たに近くの泌尿科を尋ねるべきか、このまま何もせず治療を受け、その結果を見守るかと悩む。その時嫌というほど感じたのが、

金、贅沢なんていらない。普通の日常が欲しい。

だった。

この事態になる前から思っていた事ではあるが、何事もなく普通に生活できる事が如何に幸せで、大事かという事を痛感する。

ないものねだりかもしれないが、贅沢なんていらないよ。

BCG治療「1回目」

BCG治療当日。予約をしている時間に病院に行くが、いつもの通り1時間程待たされてから診察室へ。診察ベットに横になり、カテーテルを入れられる。

カテーテル自体は膀胱鏡程痛くはないが、勿論麻酔無しなので、特に前立腺付近の痛さで腰が持ち上がる。BCG注入はあっという間で、「はい、終わり」と、カテーテルを「ちゅん」と抜かれる。

BGC注入量は50cc。最初は刺激の強い液体を入れられるから尿意が半端ないのだろうと怖く思っていたのだが、そんなにきつくは無かった。ちょっと拍子抜け。

これから2時間このまま膀胱に入れたBCGを出さずに我慢せねばならないのだが、我慢できない程ではなかった。最初の15分は膀胱の前側を刺激する為か、うつ伏せにならなきゃならない。看護師から待合の席でうつ伏せになってくれと言われるのだが、どう考えても他の患者さんから白い目で見られる事受けあいなので、車の中で過ごす事にした。

副作用

BCGを注入すると副作用として、赤い発疹、頻尿、関節痛、から咳、発熱症状が出るとの事。BCGという弱毒化したとはいえ牛型結核菌なので簡単に感染する事はないが、自宅トイレでの消毒(漂白剤)が必要だという事だった。なので、そのままそのBCGを一般のトイレで出す事は厳禁。最初の排尿は専用のトイレで行うようにと指示されている。

15分は感覚的にあっという間に過ぎた。そんなに膀胱が痛むとか苦痛はないが、その後、1時間45分間、何もせずに時間を潰すのは精神的に辛いものがある。だが、その時感じる陣痛や尿意は、術後の辛い病状と比べると軽いものなので我慢は出来そうだ。

何とかスマホをいじり倒しながら2時間を潰し診察室へ戻る。診察室の隣にある専用のトイレで渡された尿瓶に排尿。血尿はなく150cc程出た。看護師さんに量を確認してもらい、そして膀胱内の残尿が無いかを機械で測ってもらってこの日の治療は終了。

その後の症状

帰宅し、暫くしていると少し尿道の付け根、前立腺辺りが痛いというか痒いというか、ムズムズ感に変わる。少し辛かったので、また温灸で温めると陣痛は軽くなった。

翌日、耳の中と胸辺りに強烈なかゆみが出た。湿疹が出ている訳ではないのだが、上半身に思い切り蚊に刺された位のかゆみと蕁麻疹のような腫れがでる。でもまぁ、膀胱の痛みに比べれば我慢できないわけではない。

BCG治療を受ける前に「BCG膀胱内注射療法について」という小さな冊子を渡されていた。その中に治療経過を記録する欄があり、BCG当日から1週間程度症状を記録してくれと言われていたので記録する。

熱も出ず、その痒みが出るぐらいで、陣痛もそれ程ではなかった。尿は相変わらず粘膜のようなものだったり粉のような異物が混入していて、少し白濁しているが血尿も無し。

BCG治療「2回目」

1回目とほぼ同様、痛さや痒みの症状には変化なし。

BCG治療「3回目」

尿に白濁がみられた。症状には変化なし。

Bc

コロナワクチン

本当は、手術日辺りにコロナワクチン1回目を打つ予定だったが、あえなく延期。BCGを受けるタイミングを少しずらしてもらって1回目を打った。1回目は腕が少し痛いぐらいで発熱もなにもなかったが、2回目は翌日朝から38度熱が出る。

まだ写真が撮れる程の余裕はあった。

ワクチン接種時会場で熱がでたらロキソニン飲んで良いといわれていたので、痛み止めとして処方してもらっていたロキソニン飲む。すると37度台まで落ちたので会社に行く。午前11時頃からまた38度位まで上がる。昼飯を食べてまたロキソニン飲んで昼寝したら平熱まで落ちので安心していたら、午後4時位からまた38度位。たまらずまたロキニンを飲むが今度は熱が引いてくれない。何度帰ろうかと思ったが、結局ひーひー言いながら最後まで会社に居た。

帰宅すると猛烈な悪寒。ガタガタ震える。夕飯はかろうじて食べる事が出来たが、午後11時頃にまたロキソニンと眠剤を飲んだが寝れず、汗を掻きつつ朝4時頃まで唸っていた。体温を計ると39度になってからまたロキソニンを飲む。翌朝土曜日。気が付いたら朝になってたので少し眠ったようだが、布団が水を撒いたみたいにぐっしょり濡れていた。それから治まるかとおもったがまた38度。動くと体が痛い。眼球の奥も痛い。

どうもこうも熱が下がらない。今日が休みでよかった。次からは休みの前の日に打とうと決める。午後4時ごろにまたロキソニンを飲んで寝るがまた汗をかく。布団は干しているので代わりのマットレスだけ敷いて寝ていたが、またびっしょり濡れてしまう。夜には36度台に落ちたが汗が引かない。体が熱い。排尿時は灼熱感があり、まるで熱湯でも出しているかのように熱く痛い。

翌日37度。少し倦怠感。ロキソニンを飲んだら楽になり、午後にはけろっと平熱に戻った。

BCG治療「4回目」

少し陣痛が増してきたような気がする。尿も白濁感が増す。

BCG治療「5回目」

流石に5回目になると、2時間我慢した頃には耐えずらい程のムズムズ感が襲う。時間が来た事を看護師に知らせるのだが、前の患者がぐずっているのか、なかなか呼ばれない。20分程経ってやっと呼んでくれたが、結構な切迫感を伴い排尿・・・。

病院から帰宅。すると膀胱ではなく前立腺辺りに結構な陣痛がでるようになった。1回目と同じく、ムズムズ感なので温灸すると治まる。排尿痛も出てきた。そして今回は病院内での排尿では血尿はなかったが、数時間後に血尿が出た。

かなり膀胱に刺激があるようで、尿意があってもこのぐらいしか出ない。

検尿君2号

ここで検尿君1号から2号へリニューアル(苦笑)。

左が1号、右が新しくなった2号。

1号では、底の形状が花びら型で混入物や濁り加減が判り難かったので、底のフラットはペットボトルに変更。そして、底を映しやすいように壁に引っ掛けられるように穴をあけ、壁にはフックを取り付けた。

BCG治療「6回目」

6回目になると流石に膀胱が痛い。排尿痛が半端ない。血尿も出て、異物も混入している。

Bc

前回ほどではないが、横になると痛いし、どうもこうもできない。ただ、術後のそれと比べると大した事はない。鎮痛剤を飲んで暫くすると収まってきた。とりあえずBCGはこれで終了。暫くは様子を見る事になる。

大腸カメラ

膀胱癌の治療がひと段落付いたので、前から気になっていた大腸カメラの検査を近くの病院で申し込む。足の付け根あたりの引きつる陣痛が気になるのだ。

と言うか、この病院でしてくれれば色々データもあるのあるから便利が良いとおもうのだが、何故か、膀胱癌以外は何も興味が無いというか、アンタッチャブルな感じを受ける。何なんだろうか。

施術日は丁度一か月後の月曜日。偶然だが前の日は浣腸の為に病院が用意した特別食を食べなければならないので丁度いい。もし、ポリープ等があり切除した場合は一晩入院となる為、入院の部屋を決める。だが、個室を希望したが、多床室で良いでしょと諭される。まぁ、入院が決まった訳じゃないし、多床室は誰も居ないようだったので従った。

自ら希望したとはいえ、連日の検査検査でかなり疲れている。病院の待合で合計何時間待っただろうか。精神的にはかなりキツイ。

つづく。