ある日突然インターネットに繋がらなくなった。Yahooのみ閲覧可能?

あるエンドユーザから、いつもの事ながら「昨日までなんの不具合もなくインターネットができていたが、今日になってネットが繋がらなくなった。」と連絡あり。ごくごく、よくある症状ではあるのだが、今回はちょっと様子が違う。Yahooは見れるがその他のサイトは「接続できません」になるらしい。普通に考えると繋がらなくなって、キャッシュ表示だけじゃないかと思うが、そうではないらしい。この企業は工場を持つ企業。電話では埒が明かず、リモートもつながらない。では、現地で調べましょう。

現象確認

最近での機器の移動や契約の変更は特になし。メール送受信問題なし。各種ブラウザで有名サイトを閲覧するが、なぜかYahooのみ接続できる。しかも、キャッシュ等が出ている訳ではなく、最新のYahooニュースが閲覧できている。Google、MSN等、他のサイトは全滅。

いろんな通信障害を見てきたが、今回は稀な現象。

確認事項、トラブルシューティング、原因切り分け

  1. パソコンの再起動→変わらず
  2. LANのハブの電源確認→異常なし
  3. LANハブの電源入れ直し→変わらず
  4. LANケーブルの物理的接続→異常なし
  5. LANケーブルの入れ替え→異常なし

電話での確認はここまで。原因はLAN配線廻りではなさそう。

  1. 他のパソコンでの同現象再現→同現象発生→PC問題なし
  2. デフォルトゲートウェイ(ルータ)へのPING→問題なし(例:ping 192.168.11.1)→LAN内最上流まで物理LAN配線に問題なし
  3. PCのDNS設定をGoogleパブリック(8.8.8.8)へ変更→変わらず→プロバイダのDNS問題なし。
  4. Googleパブリック(8.8.8.8)へPING→問題なし(例:ping 8.8.8.8)→インターネットへの通信問題なし。
  5. ヤフー以外をIPアドレス直叩きでブラウズ→表示されない→DNSの問題無し。
  6. google.comへのPING→問題なし(例:ping google.com)→DNS、リゾルバ問題なし
  7. モバイルルータを1台のPCだけにつないでネットブラウズ確認→問題なし→ネットワーク内パケットコリジョン等通信障害ではない。
  8. メール送受信確認→問題なし→プロバイダ側異常、契約期間切れではない。
  9. ネット障害サイト(https://downdetector.jp/)確認→問題なし
  10. ONU、ビジネスフォンPBXの状態確認(NTT業者)→問題なし

ルーターはどこじゃい

ここまで来ると、あとはルータの不具合を疑う。だがしかし、肝心のインターネットルーターが見つからない。工場の離れに元々の回線が来ているので、配線を追っていくのは大変だ。担当者に光ケーブル終端の位置を教えてもらい、そこから配線を追っていく。フジクラの光成端箱とONUを確認。通常ならONUの直下にルータが存在する筈が、その下はNTTのPBX(αN1シリーズ S型主装置)が鎮座している。

この辺りは業者が行っている事なので手出しができない。

工場内の配線をもう一度追ってみる。工場内配線図等は直ぐに出てこないので自分で確認するしかない。配線(パイプ)は殆ど壁の中を通っていてその出口らしきところからまた追い直す。その先にはハブしかない。という事は、主装置内にルータが居る事になる。

デフォルトゲートウェイにブラウザでアクセスする

VPNやMTU等はない単純なインターネット接続設定なので、IPアドレス採番はDHCP。ipconfigにて確認すると、デフォルトゲートウェイは「192.168.24.1」だったので、ブラウザでアクセスするが、認証画面が現れる。

NTTのCTU、ルータの認証では、大体、ユーザー名、パスワード共に「user」で入れたのだが、今回は入れない。adminやroot、password等を試したが、どれもダメだった。どうやら業者によってご丁寧に設定を変えらえてしまっているらしい。担当者に聞いても不明。これは施工業者に確認するほかないか諦めようとしたが、もう一度ネットで調べると、パスだけ「空白」という事が分かり、ユーザ名:user、パスワード:空白で無事ルータにログインする事ができた。

だがしかし何も問題はなし

設定を確認すると、OCNプロバイダの契約設定、MTU、MRU値問題無し。DNSアドレスは自動採番だったが、DNSが切り替わっている事もある(過去経緯あり)ので、ネットで確認するが、NTT東、西日本別としても現在では明示的なDNSアドレス発表はなく、自動採番で良いようだった。

もう何も悪い所はない。とすると、

ルータ(PBX)の再起動しかない。

ルータもパソコンの様なものなので、長期間再起動無しだと誤作動を起こす事もある。なので、再起動をしたいのだが、いかんせん、PBX内に組み込まれているルータなので、再起動すると企業内電話も全て止まってしまう。

業務後に行うのがセオリーだが、インターネットが止まっているのも問題なので、担当者に許しを得え、電話を止める事承知で再起動を決行。

だが繋がらない

社員の方々に頭を下げ、再起動認可。2分ほどの再起動後、ルータに接続できるようになった、ネットが依然つながらない。電話は繋がる。嫌な汗が出てきた。どういう事だ、もう何も悪いものは何もない。装置自体が故障しているのか。ファームウエアのバージョンアップは、業者から止められている。

再起動後は、PPPOEは接続まで数分かかる。

PPPoE接続等、インターネット接続は複数接続を予防する為に、切断してから再接続できるまで数分時間がかかる。これを失念していた。

現場で作業していると、所謂アウェーなので精神状態は普通ではない。そこに急ぐ必要という要素加加わると、直ぐに頭がパニクって正常な判断ができなくなる。汗を掻きながら何が悪いのかを調べているうちに、PPPoEの接続が復帰し、インターネット接続の正常が確認できた。

原因判明

結果からみるとなんのことはないルータの不具合だった。ルータもパソコンと同じく長時間稼働させるとゴミのようなものが溜まり、不具合を引き起こす。パソコン、サーバもそうだが、定期的に再起動、またファームウエアのバージョンアップは必須だ。

今回は、ルータが物理的に見つけられなかった事と、ルータと思われるウェブポータルに認証が通らずアクセスできなかった事が苦戦した原因だった。いつもこのNTT廻りは手が出しにくいのので苦手だ。

再発しました。追記を参照ください。

総括

今回のPBX主装置は2017製で、比較的新しい方だと思うのだが、この頃からなのかパスワードが空がデフォルト設定になっているようで、今までの思い込みで時間を費やしてしまった。

なんにせよ、やはりエンドユーザ先の事務所での作業というのは何年やっても慣れない。長丁場になると、ずっと緊張感を保ちつつ廻りに気を遣って行動しないといけないので、普段より10倍疲れる。一番辛いのは、飲めないコーヒーだ。

先方からは、良かれと思って差し出してくれるのでありがたいのだが、コーヒーを飲めない人も居る。そして、ドリップやコーヒーメーカーで作ってくれる「おいしい」本格的コーヒーならまだいいのだが、インスタントで間に合わせで出された「コーヒーもどき」はとっても困る。今患っている疾患にはカフェインは厳禁。だが残す事もできないので、心と葛藤しながら、映画「ラストエンペラー」の墨汁を飲まされるが如く飲んでいた。

今まで数十年間、客先では必ずといって良いほどコーヒーが出てきて、長時間になると気を使ってくれておかわりまで注いでくれる。なじみのお客さんであれば、飲めない事を雑談中にほのめかし、お茶等に替えてもらう事が出来るのだが、全てのユーザ先でそういう事が出来るわけではなく、要りませんとは勿論言えないので、代わりにお礼を言うしかなのだが、「どうぞお構いなく」と一言添える位が精いっぱいの抵抗。よっぽど体調が悪い時は、残してしまったり、隙をみてトイレに捨てに行く事もしばしばあった。

そこで、気が付かれずにこのコーヒーを捨てる消す方法がないかと、一時期本気で考えた。例えば、服の内側かカバンにタンクを忍ばせ、袖から細いチューブを引っ張り、カップに手をかけ飲んでるふりをしながら電動か手動かでコーヒーを吸い取るという方法。あれやこれやと色々考えていると何故か楽しくなっている自分が居た。勿論、まだそんな機械は作れてはないが、このコーヒー問題に困っている方も少なからず居られると思うので、一度商品化を目標に計画してみようかなとも思っている(苦笑)。

2023年3月16日:追記

再発した。どうやら主装置のCTU部分が機械的に故障しているようだ。業者に連絡。ファームウエアのバージョンアップ、また、交換を依頼した。

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